コンピュータの発達と製版印刷技術

近年、コンピュータ技術の目覚しく発達してきました。コンピュータが小型化、高性能化されるにつれて各分野で利用されているのは周知の通りですが、印刷界でもいろいろなところで利用されています。その一例がスキャナです。スキャナが登場する前は、写真の製版に製版カメラを使っていました。階調を大小の網点に置き換えるためにコンタクトスクリーンを使い、原稿を製版カメラでスキャンしていたのです。4色刷りのためにカラー原稿を分解するときは、カラー印刷で使うインクの色、つまりC(藍)、M(紅)、Y(黄)、K(黒)と補色関係にあるフィルターをかけて撮影をしていました。しかしスキャナの普及に伴い、写真製版の現場で製版カメラが使われることはほとんどなくなりました。このスキャナをさらに発展させ、いくつかの製版現場で使われているものがレイアウトスキャナ、トータルスキャナと呼ばれる、画像処理や集版作業をコンピュータ上で行うシステムです。

このシステムを利用することで、色変換や複数の写真の合成などを、デジタル処理で行うことができます。スキャナが登場する以前は随分苦労して対処していたことが、ずっと簡単にできるようになったのです。このように、スキャナの登場によって以前ほど熟練の技術を必要としなくても、写真製版ができるようになりました。また、人の手による製版の修正作業もなくなり、校正で写真の修整を求められても、原稿を再分解することで対処するのが当然のようになってきました。その一方で、パソコンが普及し、一般に広まりました。これが印刷原稿そのものをデジタル化するきっかけとなり、以前は手書きだった文字原稿が現在ではパソコンで打たれ、テキストデータとして電算写植機に取り込まれるようになったのです。そうしたところに、DTPが登場しました。このシステムを利用すれば、集版の作業が軽減されると同時に、製版材料の削減ができます。また、編集者やデザイナーが利用すれば、それまで印刷会社の領分だった作業を自分たちで行うこともできるだけでなく、デジタルデータを色々なところで活用することもできます。印刷では、DTPで作ったデジタルデータを、製版フィルムに出力して使うだけでなく、精度の高いプリンターで出力して校正刷りの代用としたり、刷版に直接出力してそのまま印刷したり、あるいは高精度・高速のプリンターから出力して印刷物の代わりにすることも可能となります。