広告のデジタル送稿化で求められる製版・印刷のノウハウ

広告のデジタル送稿化に関して、ユーザー業界の取り組みが本格化してきています。製版・印刷業界は当然これへの対応を迫られており、ワークフローや技術の標準化、共通ルール化を制作側と煮詰めていく必要が高まってきました。広告のデジタル送稿化とは、広告会社(制作会社)が広告原稿をすべてデジタルデータとし、通信回線等を介して媒体社(新聞社や出版社)や印刷会社に送るもので、これにより制作時間の短縮、生産性の向上やコスト削減などのメリットが得られることになります。これまで雑誌や新聞は、本文編集についてはデジタル処理がかなり進み、CTPで製作可能な媒体も増えてきました。しかし本文に伴う広告は相変わらずフィルムや印画紙(版下)で入稿されることが多く、製作効率を阻害する要因ともなっていました。デジタル送稿は直接にはこうしたプロセスの効率向上が目的ですが、もっと言えば、テレビやインターネットなどのメディアに押され気味の雑誌・新聞業界がブロードバンド時代に生き残るために、媒体そのものの価値や競争力を高めるといった狙いも含まれています。

デジタル化による広告媒体としてのこうした雑誌・新聞の強化戦略は、広告主への有力なアピールにつながります。広告のデジタル送稿の実現には、データフォーマットや通信環境、使用するアプリケーションや書体の統一、色の標準化、ワークフローの標準化など、数多くの解決すべき項目があります。実際には、1つの媒体に対して複数の制作会社から広告データが入稿され、また複数の会社で印刷されるケースも多くなっています。その中でのミスのない効率的な処理には、やはり最終品質を保証する立場にある製版・印刷会社のノウハウが欠かせなくなってきます。特に、ネットワーク送稿のプロセスにおいて、スポンサーへの最終印刷での色の保証であるとか、広告会社や制作会社がデータ作成に不慣れな点であることなど、製版・印刷のノウハウや技術が欠かせない局面は多数あります。共通互換性のあるデジタルデータのやり取りに向けて、広告会社や新聞社、出版社との話し合いが必要となってきており、印刷業界の存在感を示せるチャンスにもなってきています。そして、雑誌・新聞の媒体価値を高める広告のデジタル送稿こそ、マスメディアに携わる業界全体の生産性向上、コスト削減、そして情報化社会の中で勝ち残っていくための重要なキーワードになってくるということを意識しておくことが大切です。